粉塵対策時における測定
こんにちは、明心建設です
今回は現場で測定屋さんとお話しをさせて頂いた時に非常に興味深いお話しをさせて頂きメモとしてここに残しておきたいと思います。
アスベスト測定は、アスベストの存在を特定し、その濃度を測定する作業になります、では具体的にどんな業務をしているのか、どんな作業内容なのかを記します
1. 測定方法と基準値(石綿障害予防規則)
石綿障害予防規則(厚生労働省管轄)では、労働者の健康被害を防ぐために、作業環境測定や作業中の管理を義務付けています。
① 作業前の測定(事前調査)
- 目的:建材のアスベスト含有の有無や含有量を確認する。
- 方法:
- 現地調査とサンプリング
- JIS A 1481(建材中の石綿含有率測定)に基づき分析(X線回折法・偏光顕微鏡法・分散染色法・電子顕微鏡法など)
- 含有量0.1重量%以上であればアスベスト含有建材と判断し、適切な除去方法を実施。
② 作業中の測定(作業環境測定)
- 目的:作業者が暴露するアスベスト濃度を監視するため。
- 方法:
- エアサンプリング(個人ばく露測定 & 環境測定)
- 作業場内の複数地点で空気を採取
- 濾過膜(メンブレンフィルター)で捕集し、位相差顕微鏡または電子顕微鏡で分析
- 基準値(労働者のばく露限界値):
- 0.1本/cm³(8時間平均)
- これを超える場合は防じんマスクの着用、湿潤化の強化、局所排気装置の設置などの追加対策を実施。
③ 作業後の測定(最終測定)
- 目的:除去作業完了後に、作業エリアの石綿粉じん濃度が安全基準以下であることを確認。
- 方法:
- エアサンプリング(除去エリアとその周囲で測定)
- 作業区域のシートを撤去する前に測定を実施。
- 基準値:
- 作業エリア内の濃度が 0.01本/cm³以下 であることを確認後、養生を撤去し作業完了。
2. 測定方法と基準値(大気汚染防止法)
大気汚染防止法(環境省管轄)は、環境中へのアスベスト飛散を防ぐために規制を定めています。
① 作業前の測定(事前調査)
- 目的:建材のアスベスト含有の有無を確認し、適切な施工方法を選定。
- 方法:
- 目視調査+分析調査(JIS A 1481準拠)
- アスベスト含有が確認された場合、大気汚染防止法に基づく届出が必要。
② 作業中の測定(飛散粉じん測定)
- 目的:大気中へのアスベスト飛散状況を監視。
- 方法:
- 作業エリア周囲(敷地境界付近など)で定期的にエアサンプリングを実施。
- 高流量ポンプを用いて空気を捕集し、電子顕微鏡で分析。
- 基準値(周囲環境の基準値):
- 0.15本/cm³以下(これを超えた場合、作業を中断し追加対策を実施)
③ 作業後の測定
- 目的:作業後の環境が安全であることを確認。
- 方法:
- 周囲の空気を採取・分析し、飛散がないことを確認。
- 基準値:
- 0.01本/cm³以下 であることを確認後、作業完了。
3. 測定機器と分析手法
測定目的 | 測定手法 | 代表的な分析方法 |
---|---|---|
作業環境測定(作業者暴露測定) | エアサンプリング | 位相差顕微鏡(PCM)、透過型電子顕微鏡(TEM) |
飛散測定(周囲環境測定) | エアサンプリング | X線回折(XRD)、偏光顕微鏡(PLM) |
建材分析(事前調査) | 材料サンプリング | X線回折(XRD)、偏光顕微鏡(PLM)、分散染色法 |
4. まとめ
石綿障害予防規則(厚労省)
- 労働者の健康保護を目的とし、作業環境測定を義務付け。
- 基準値:作業者ばく露 0.1本/cm³、作業後 0.01本/cm³以下
大気汚染防止法(環境省)
- 環境中へのアスベスト飛散防止を目的とし、周囲環境測定を義務付け。
- 基準値:作業中 0.15本/cm³、作業後 0.01本/cm³以下
これらの規制に従い、適切な測定・管理を行うことで、作業員と周囲環境の安全を確保することが求められます。
除去作業は常に気をつけていなければ、アスベストを曝露させてしまい重大な災害につながってしまいます
測定屋さんのお仕事は非常に重要な役割を果たしてくれていると認識させて頂いたと共に
解体工事業務の一つとして大切な事を教えて頂きました