内装解体時にアスベスト含有建材が出てきた場合

日本で内装解体中にアスベスト含有建材(ACM)が判明した場合の法令に準拠した一般的な工事手順です
(※実際の除去作業は資格者・届出・専門工法が必須)


内装解体時にアスベストが含まれていた場合の工事手順(概要)


① 工事の即時中断(発見時対応)

  • アスベストの可能性がある建材を見つけたら、その場の作業を全て停止
  • 該当箇所への立ち入りを制限(柵・バリケード・張り紙など)
  • 粉じんの飛散を抑えるため、周辺の清掃や風の流れを変えるなどの行為は行わない

② 建材のアスベスト含有調査(事前調査の追加)

すでに調査済みでも、想定外の建材が出てきた場合は追加調査が必要です。

  • 分析調査(JIS K 3850-1等) を実施
  • 採取作業は調査資格者(一般建築物石綿含有建材調査者など)が担当
  • 結果を元にリスク区分(レベル1~3)を確定

③ 行政への届出(必須)

アスベスト除去工事を行う場合は、以下の届出が必要です(通常は工事開始14日前まで)。

  • 労働安全衛生法:作業届
  • 大気汚染防止法:特定粉じん排出等作業の届出
  • 必要なら自治体へ追加申請

※元請・専門業者が行う。


④ 作業計画書の作成

  • 除去工法(手工具/湿潤化/負圧など)
  • 養生計画(2重養生、陰圧管理 など)
  • 廃棄物処理方法
  • 緊急時対応
  • 作業員配置(作業主任者、監督者など)

⑤ 除去作業前の準備

養生

  • 二重完全隔離(壁面・天井・床の全面)
  • 出入口は 二重扉(前室+作業室)
  • HEPAフィルタ付きの 負圧集じん装置で陰圧管理

作業者保護具

  • 使い捨て防護服
  • 使い捨て手袋
  • P3フィルタ付き防じんマスク

⑥ アスベスト除去作業(工法はレベルに応じる)

レベル1(吹付材・断熱材等)

  • 完全隔離
  • 湿潤化(薬剤スプレー)
  • 手工具による慎重な除去
  • こまめにHEPA掃除機で回収

レベル2(ボード、保温材などの劣化が少ないもの)

  • 部位隔離
  • 湿潤化+手工具
  • ボードをなるべく割らずに取り外し

レベル3(成型板など飛散性が低いもの)

  • 最小限の隔離
  • 飛散防止措置を行いながら解体

⑦ 清掃・環境測定(完了判定)

  • 作業後、HEPA掃除機で全体を清掃
  • 水拭き
  • 最終的に 浮遊粉じん濃度測定(定量分析) を行う
  • 基準値以下であれば養生撤去へ

⑧ 養生撤去・原状復帰

  • 陰圧装置を停止
  • 養生材を内側から外側へ丁寧に撤去
  • 廃材は全て二重袋に入れ密閉

⑨ 産廃処理(マニフェスト)

  • アスベスト廃棄物は特別管理産業廃棄物(特管)
  • 二重梱包
  • 飛散防止のラベル
  • マニフェストで処理ルートを管理
  • 管理型最終処分場で埋立

⑩ 竣工書類の作成

  • 除去完了報告書
  • 測定結果
  • 廃棄物マニフェスト
  • 作業写真(=重要)

まとめ

  1. 作業ストップ
  2. 追加調査
  3. 届出(14日前)
  4. 計画作成
  5. 隔離養生+陰圧管理
  6. 資格者による除去作業
  7. 清掃・浮遊粉じん測定
  8. 養生撤去
  9. 特管として処分